そもそもREITとは、アメリカで1960年代に生まれたビジネスモデルですが、アメリカのREIT市場は、180銘柄、時価総額3,750億ドルの実績があります。アメリカと比較すると、創設されて3年のJ−REIT市場の規模は微少ですが、今後アメリカのように拡大していくのかどうかは、まさにこれから注目すべきところです。
アメリカ政府は、バブル経済崩壊以降、日本政府に不良債権処理を早く行うよう圧力をかけ続けてきました。しかし、バブル崩壊後の日本に債権処理をするだけの体力は無い。

そこで、アメリカの資本家が日本の不動産を底値で買い上げ、その後日本政府に資産価格をインフレさせるように圧力をかけて、値上がりしたところで売却すれば、アメリカは巨額の利益を手にすることができる。それが彼らのシナリオです。

つまり、市場を自由化(アメリカが参入しやすく)するためにREITが必要だったわけです。言ってみれば、 (建前としての)市場開放や規制緩和の一政策 だと言えます。
「無借金経営を優良企業とする日本と、借入をしてでも株主の利益を最優先するアメリカでは考え方が違うので、疑問に思うのも当然でしょうね。アメリカでは、積極的に事業を拡大する際、社債などによる借入がよく行なわれます。その場合、借入が増えるため格付けは低下してしまいますが、拡大した事業利益が社債利息より多ければ、会社の収益は増え、結果として株主の利益が極大化するという考え方です」
不動産投資信託とは、投資家から集めた資金等で不動産を保有し、そこから生じる賃料や売却益が投資家に配当される商品です。投資家には投資証券等(=株券)が発行され、上場基準など一定の条件を満たせば証券取引所上場が可能で、上場後は株式と同じように売買が可能です。
不動産を主な運用対象とする投資法人(会社型投信)あるいは、投資信託(契約型投信)が投資家から資金を集め、これを不動産を中心とする資産に投資して運用し、賃料などの収益を投資家に分配する投資証券を総称して一般に不動産投資信託と呼ばれています。
不動産投資信託はアメリカで「REIT(リート):Real Estate Investment Trust」と呼ばれていますが、わが国の不動産投資信託はアメリカのREITとは制度上異なる面がありますが、この日本版ということで「J-REIT」とも呼ばれています。
アメリカは約10年前に金融危機を迎えました。銀行は「貸し渋り」です。不動産に対する融資は危険なものとされ、誰も資金を出さなくなったのです。 そうなると、商業用不動産の真の価値は何なのかがあらためて問われることになります。そして 不動産の価値とはその不動産が生み出す家賃収入等によるキャッシュフローだ との結論に至りました。(更地のままでは無価値ということです。)突然に価格が上下するといった不明確な価値でなく、安定的なキャッシュフローが不動産の価値であれば、証券化できます。利子収入を安定的に生む国債と変わることがありませんから。

そして銀行が「貸し渋る」ので、やむを得ず証券化による資金調達に進むことになるのです。 銀行融資の代用での、投資家向け証券発行での資金調達です。社債は会社そのものの信用に頼りますが、そうではなく不動産そのものの信用に頼る証券です。

不動産を保有するだけの会社は不動産価値だけの会社です。その株式を株式市場に公開させます。広く投資家に株を買ってもらいその資金を期待します。 会社の価値は不動産価値そのものであり、その株式も不動産の価値です。公開により流動性が高くなり、年金基金など投資家を取り込んで巨大化します。

これがREIT(リート)です。以前からの優遇税制制度がこの時期に活用されたのです。

REITは「不動産投資信託」と訳され、日本では「株式投信」を連想しますが、REITは会社の株式そのものでもあります。株式公開はREITの公開です。

こうして不動産はプライベートなものからパブリックなものへと進化し、直接所有から間接所有へと進化を始めたのです。 言い換えれば、一部地主により個人的に直接所有されたものから、いわば公的な場である株式市場を通して間接的に所有されるものへの進化です。
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